2021.8.2-4. 夏のサイエンスツアー(福井・滋賀)報告

2021年度サイエンスツアー(福井・滋賀)1日目

 

8月2日(月)より2泊3日の日程で、本年度第1回目のサイエンスツアーに出発しました。SSH事業の一環として毎年夏と冬の2回実施していますが、新型コロナの感染状況とオリンピック開催などの事情により、関東方面から福井・滋賀方面への研修ツアーとなりました。

宿泊を伴うサイエンスツアーが昨年は中止となったこと、また日本屈指の展示内容、施設を誇る福井県立恐竜博物館がツアーの目玉と言うことで、3年生も含んだ総合科学科生徒27名が参加しました。

1日目は「福井県立恐竜博物館見学」と「野外恐竜博物館化石発掘実習」がメインです。

バスで約3時間超揺られ一路福井県にやってきました。

まずは恐竜博物館の見学です。
入り口で恐竜博物館総括研究員の先生から博物館の紹介と簡単なご挨拶いただきました。
(ちなみにこの先生のお父様は生前、泉北高校で教員をされていたとのことです)



恐竜博物館は福井県で発掘された恐竜の展示に限らず、地球誕生の歴史や地球の構造などが展示、体験できるようになっています。

人気の理由は展示構成・方法が非常に洗練されている点で
大きな恐竜の展示はもちろん(動きます)、小さな恐竜の骨格標本は、下や上からまた目の高さを骨の位置と合わせて観察できるようになっています。また化石のクリーニング室も外から見学でき、生徒たちは約1時間半、休むまもなく見学していました。


館内見学後、博物館専用のバスに乗り換え20分ほど山奥に進んだ場所にある、発掘現場で化石発掘実習です。

ここは福井県が主体となり発掘が行われている、手取層群北谷層と呼ばれる白亜紀(約1億2000万年前)の地層で、これまで数々の恐竜化石が発掘されてきた最前線の現場です。

許可を受けた研究者以外立ち入り禁止で、本日の我々一行は1日研究者としての立場で入場しています。

2班にわかれ、発掘現場の概要と建物内の化石保存展示を学習した後、私達も発掘スタート。

30分という制限時間がありましたが、生徒・教員ともにハンマー片手に真剣に取り組みました。
恐竜の化石は残念ながら発掘できなかったものの、貝や植物の化石が含まれた石を発掘できた人は数人いました。

宿舎に戻ってから班別に本日のまとめ&発表 ChromeBookを利用し、各班が今日撮った写真をもとにプレゼンします。
写真の共有で少しトラブルがありましたが、各班上手に乗り越え発表してくれました。

やはり実物を実際に目にすると印象が強く残ります。明日は伊吹山での1日フィールドワーク。
天候が心配ですが、しっかり休んで活動しましょう。

 

2021年度サイエンスツアー(福井・滋賀)2日目

本日は伊吹山でのフィールドワークでした。弁当をホテルで受け取り現地へ向かいました。途中、雨が激しくなってきました。
山頂に通じるドライブウェイの入り口で本日の講師の伊吹山ネイチャーネットワークの方にバスに乗っていただき、山頂の駐車場を目指します。本当にまわりは真っ白です。

雨風がひどく(霧による視界不良、雨、風速10m程度の風、加えて雷注意報も発令されるほど)、残念ですが予定を変更して頂上を目指すのはやめて、駐車場のまわりの植物を観察することにします。
この向こうには琵琶湖が見えるのです、などと説明を受けての記念写真。

さて、雨の中ですが観察開始です。
まずは、伊吹山を代表するシモツケソウ(赤い花)を観察します。

山頂では一面に咲いているはずです。その後、サラシナショウマやキリンソウ、コオニユリ、オオバギボオシ、ヤマホタルブクロ、シシウド、ミヤマトウキ、カワラナデシコ、ヒメフウロ、クガイソウ、ノリウツギそして、花は咲いていなかったですが、トリカブトを見つけることもできました。毒で有名な植物です。
雨の中でも綺麗な花々は咲いてくれています。こころがホッとするひとときです。説明をしっかり聞いて、写真撮影を頑張りました。素晴らしいです。いろんなことを学ぼうとする意欲が。

本当に雨風の中でしたが、観察することができました。
生徒たちは引率教員からの「必ずフィールドワークの際にはカッパを用意すること!傘はダメ」と事前指導で指導された理由を身をもって知ったことと思います。

今、日本で本当に問題になっているシカ被害の話も聞きました。この伊吹山の山頂でもシカの被害がひどくて、さまざまな植物が消滅していっているそうです。今回観察できたのは、駐車場まわりのガケだったのでシカが食べずに残っていたとのことでした。

柵のある写真はシカが山頂に行かないようにするためのものです。

モリアオガエルのオタマジャクシを見てバスに戻りました。からだが雨に濡れているので、まずは体調を崩さないように暖かくして弁当を食べました。

その後、さらに伊吹山の成り立ちの話を聞き、山を降りることにします。伊吹山は山頂付近が石灰岩であり、特徴的な生き物がいます。そのひとつがイブキクロイワマイマイ(カタツムリ)です。カタツムリの種類が多いそうです。

また、この地域は昔から薬草の産地であり、『もぐさ』の実物も見せていただきました。

モグサの原料のオオヨモギは山麓の伊吹山の資料館で確認しました。
また、伊吹山で育ったイヌワシの剥製も見ました。

からだを休めるために早めにホテルに向かいます。
今晩の各班の発表が楽しみです。
明日はサイエンスツアーの最終日です。琵琶湖博物館を訪ねます。ここも楽しみです。明日はいい天気みたいです。

 

2021年度サイエンスツアー(福井・滋賀)3日目

    今日も楽しいプログラムが続きます。
    琵琶湖博物館において外来魚の解剖を行いました。ブルーギルやブラックバスを使用しました。講師の先生から話を聞いた後、実際に解剖を実施しました。昨日の夜のミーティングでも楽しみにしているとの話がたくさん出ていました。みんなで必死に取り組みました。特に胃の中に何があるのかを調べると、魚がそのまま入っていたりして驚きでした。

    その後、館内を見学して帰りに向かいます。琵琶湖博物館では琵琶湖を中心として自然科学的なことだけでなく、人文科学的なことにも取り組んで展示されているところで、あっという間に2時間の見学時間が過ぎてしまいました。
    写真は博物館から見た琵琶湖の様子です。本当にいい天気で青空がきれいです。

     

    今回のサイエンスツアーのプログラムは、例年実施している内容とは大幅に変更しました。東京に行くことを避けるということもありますが、この近畿圏において活動を実施しようと考えたのです。さらに、博物館や大学の研究所に行くだけでなく、フィールドワークを実施することにしたのです。フィールドワークを実施するには結構な準備がいります。しかし、その準備以上に成果が大きいので、今回取り組むことにしたのです。外部の団体に講師をお願いして貴重な話を伺うことができました。
    今回は伊吹山でしたが、ここは近畿圏だけでなく全国的に見ても固有種が多く、特別な地域なのです。また、車で頂上近くまで移動できるために高山帯の植物を見るには最適の場所なのです。
    ずっと熱い日が続いていた中で、この日だけが激しい雨風でした。活動に適していなかったため活動範囲が限られてしまいました。それでも多くを学ぶことができたと考えています。(2日目の報告を参考にしてください。めったにできないすばらしい経験であった。と夜のミィーティングの時に生徒たちは感想を言ってくれていました。)

    サイエンスツアーというこのような課外活動は、日ごろでは経験できないようなことが経験できるところに価値があります。そして、博物館、研究所、フィールドワークでの体験だけでなく友人との交流も経験の一つです。知らない人と話をすることができてよかった。先輩と話をする機会ができてよかったという感想も述べてくれている人もいました。

    ぜひ、今回の経験を大切にして今後の高校生活、いや人生にいかしていってほしいと考えています。頑張ってください。